人工的に血液を浄化する治療
人工透析は本来、腎臓が行うべき血液の濾過をダイアライザーと呼ばれる人工腎臓や腹膜を代わりにして血液を浄化する治療です。
何らかの病気が原因で腎臓の働きが正常の10%以下になると腎臓で血液の濾過が十分に行えなくなるため、老廃物や水分が適切に排除されず体内にたまってしまいます。そうなるとむくみや血圧上昇、尿の異常など体に様々な症状が現れてきますが、その症状がさらに悪化すると心臓の働きが悪くなったり、意識障害や呼吸困難を起こしたりします。死に至る可能性もあるため、命をつないでいくために人工的に血液を浄化していくわけです。
人工透析を始めるタイミング
腎臓の働きが低下した状態を「腎不全」といい、腎不全がさらに重度化して腎臓の機能回復が見込めなくなった状態を「慢性腎不全」といいます。慢性腎不全になると血液中にある老廃物や水分を自力で排出できないため、倦怠感や頭痛、吐き気、不眠などの「尿毒症」の症状が現れるようになります。尿毒症は生命の維持にも大きく関係しているため、症状が出始めたら人工透析を開始するタイミングだと判断されることが多いです。
人工透析にはダイアライザーを利用した「血液透析療法」と患者本人の腹膜を利用して血液をきれいにする「腹膜透析」がありますが、日本で多く行われているのは、体内にたまった老廃物をダイアライザーで浄化して再び体内に戻す、血液透析です。
透析治療を行うことで不自由なく日常生活を送れるようになりますが、透析治療そのものに腎臓の症状を完治させる作用はありません。腎臓の働きを完全に代行することはできないため、透析治療以外にホルモン注射や投薬治療などで腎臓の機能を補います。
通院の頻度は?
血液透析は病院や専門の施設で行います。週に3回ほど通院し、治療時間は1回につき大体4時間くらいです。透析を受けるためとはいえ通院がそれだけ多いと、患者本人はもちろん、家族にも大きな負担がかかります。もし、老人ホームなど介護施設への入所を検討している場合は、人工透析の受け入れ態勢が整っていることを条件に施設を探さなければなりません。
日本の透析治療は世界トップクラス
現在、日本で透析治療を受けている患者は約33万人いるとされ、そのうちの97%は血液透析を行っています。また、毎年約1,000人が透析治療を開始しているというデータもあります。日本の透析治療は今日まで発展を続けており、治療成績は世界でもトップクラスです。日本において人工透析はすでに普遍的な医療であり、標準的な治療方法だといえます。
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